賃貸の火災保険
賃貸住宅に入居する場合、火災保険の加入が義務づけられるケースが多いです。
賃貸住宅は建物に対する補償は大家負担になるルールが一般的で、入居者は賃貸専用の家財保険を活用します。
大家が入居者に対して火災保険の加入を義務づける理由は、借家人賠償責任保険を付帯される目的です。
借家人賠償責任保険は火災が発生した場合に、他の入居者への賠償や現状回帰するまでの期間に応じた家賃相当額の賠償額が補償されます。
借家人賠償責任保険は単体で加入することができず、賃貸用火災保険(家財保険)の特約として加入するものです。
つまり、賃貸の火災保険は借家人賠償責任保険が必須で、そのために最低限の内容で火災保険(家財保険)に加入しないといけません。
家財への賠償額上乗せや個人賠償責任保険などの特約は、入居者の任意で加入します。
賃貸契約で求められる最低限の契約内容のみであれば保険料は年額3~6千円程度。家財保険の上乗せや特約を活用すると年額1万円以上の保険料になることもあります。
賃貸で火災保険に加入するポイント
賃貸の火災保険に関するルールと注意点、加入時のポイントをまとめると以下の通りです。
- 建物に対する火災保険は大家負担が一般的(大家の意向で入居者加入を求められる場合もあります)
- 入居者は借家人賠償責任保険を付帯できる内容で火災保険の加入が必須
- 家財保険の金額上乗せや特約の有無は任意
- 保険会社は自由に選べる(独占禁止法によって保険会社の指定は禁止)
- 最低限の補償内容・保険料に抑えたい方は少額短期保険がおすすめ
- 不動産会社は高額な保険料を提示することが多い
賃貸では不動産会社の言いなりで高額な保険料の契約内容で加入する方が多いです。
最低限の内容に抑えれば年額5,000円以下に抑えられるので、高額な見積を提示された場合は即決せずに、自分自身で他の保険会社・代理店に相談してみてください。
少額短期保険とは?
名称の通り、少額かつ短期の契約に限定した保険で、補償額の上限が設定されている代わりに、通常の火災保険よりも小規模の会社が販売できるものです。
ミニ保険とも呼ばれることがあり、後発組の小規模会社が販売する特性から損保会社の火災保険よりも料率が低く設定されています。
火災保険では賃貸住宅と相性が良いので、最低限の補償で保険料を安く抑えたい方は少額短期保険の加入を検討してみてください。
家財保険は必要?
家具・家電などの家財に対する補償は入居者が任意で金額設定する家財保険で補償します。
1人暮らしの場合、高級家具や家電にこだわりがない場合、最低設定金額の100万円程度で最低限の設備を再調達できます。
高級家具や学業・仕事で使う高価な荷物が多い方は、必要に応じて上乗せすると良いでしょう。
不動産会社は最初の見積から300万円以上の設定で提示することが多いですが、家財の調達額が300万円以下だった場合は無駄な保険料を払うことになるので注意してください。
不動産会社の扱う保険は高い?
不動産会社は保険代理店の資格を持っていて、入居者が火災保険に加入すると保険会社からインセンティブが支払われます。
一部の不動産会社は、インセンティブの割合が高い不動産事業者向けの保険会社を使っていることがあるので注意しましょう。
外部の保険会社を利用すれば、不動産会社から提示された補償プランと全く同じ内容にしても保険料が大幅に安くなる場合があります。
最低でも1社は不動産会社以外から火災保険の見積を取って比較してみてください。
補償・特約の上乗せ
賃貸の火災保険は、最低限の契約にすると火災リスクに対する家財の補償と借家人賠償責任保険になった内容です。
万一のリスクの備えて手厚い補償で加入した場合は、以下の契約プラン・特約を活用します。
- 家財保険の設定額上乗せ
- 補償範囲を広げる(水災・風災・盗難・破損汚損など)
- 臨時費用特約(損害発生時に利用した仮住まい費用など)
- 地震火災費用保険金(地震による火災・家電・家具の損失補償)
- 個人賠償責任保険特約(住居外を含めて個人的な賠償責任を負った場合の賠償額を補償)
どこまで補償を手厚くするかは入居者の自由です。個人賠償責任保険特約については、自動車保険やクレジットカードでも付帯できる特約ですので、重複加入にお気をつけください。
小さいお子様やペットがいる家庭は、個人賠償責任保険特約を何らかの形で加入する方が多いです。
加入プランで迷った場合は、保険を専門に扱う代理店や賃貸向け火災保険に強い保険会社のコールセンターに相談してみましょう。