火災保険の加入必要性から補償内容及び範囲・保険料等について解説します。

保険なんて自分には必要ない

と考える方も多いかとは思いますが、火事は自身が原因だけでなくとも起こり得る事故です。
年間数万円と決して安くない火災保険料ですが、これは本当に“無駄な保険料”なのでしょうか。
火災保険の概要、入っておいた方が良いケース、物件別の保険料等についてまとめましたので、入ろうか入るまいか悩んでいる方はまずこちらをチェックした上で判断する事をお奨め致します。

 

 

火災保険の加入率

火災保険の加入率はどれくらいか

各損保会社からは火災保険加入率の公式情報の発表はありませんが、およそ火災保険加入率は8割程度と考えられています。
3年に1度行われる公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は88.7%となっておりますので、生命保険に次ぐ加入率である事が分かります。
高い加入率の理由として、90%以上の人が住宅ローンを利用して家屋を取得しているという点が挙げられます。
住宅は金融機関の担保として抵当権を設定されているので、万が一火災等により家屋が消滅してしまうと無担保の状態となってしまい、加入が融資の条件となってしまうのです。特に住宅街や集合住宅の場合は火災保険加入率は高く100%に近い地域も多数存在しています。

 

火災保険料をお得にしたいのなら「火災保険の節約方法」をチェックしてみましょう。火災保険料を軽減できた体験談や支払い例など幅広い視点の情報を公開しています。

 

保険料はどのくらい?

保険料は物件の構造によって異なります。
例えば、RC造り(鉄骨)のマンションであれば火災の可能性が低いため保険料は安くなりますし、木造の一戸建てであれば火災の可能性が高くなるため保険料も高く設定されています。
もちろん保険料は保険会社によって異なりますが、概ね以下の構造によって保険料が変化していきます。

 

  • 安い…M構造(鉄骨や鉄筋で作られた耐火建築物)
  • 中間…T構造(準耐火建築物の建物)
  • 高い…H構造(木造で耐火又は準耐火建築物以外の建物)

 

M構造に比べてH構造の方が30%~40%程保険料が高くなります。
金融機関が火災保険を指定してくる場合もありますが、更新に関しては居住者の裁量に委ねられているケースが殆どであるため、しっかりと保険料を比較する事も重要です。

 

 

中途解約は可能?

住宅ローンは20~35年の長期的な契約になる事が多いため、火災保険も原則として複数年単位で締結します。
最長で10年となっており、契約期間が長ければ長いほど保険料は安くなります。
基本的に一括払いとなっており“途中解約したらどうなるのか?”という点は気になる所ではないでしょうか。
こちらに関しましては、一定の違約金が掛かる可能性はありますが、未経過分に関しては別途還付を受けられるケースが多いようです。
もちろん契約内容によるところも大きいため、契約前にしっかりと確認しておく事も重要になります。
中には月々の支払いを少しでも軽減させるため、融資が下りて直ぐに解約してしまう強者もいるようです。

中断の詳しい説明はこちら

火災保険って中断はできる?

 

補償の範囲

最も一般的で保険料が安い「住宅火災保険」の場合、火災の他、落雷・事故による爆発・台風や雪による災害等にも対応しています。
また、「住宅総合保険」と呼ばれるものに関しては更に水漏れや洪水といった事故・災害にも対応しており、どのプランを選ぶかはその地域の特性による所と言えるでしょう。
なお、意外にも知られておりませんが、仮に隣の家が火事になり自分の家にも燃え移ってしまった場合、火事を起こしてしまった人に対して損害賠償請求(故意や重過失の場合)は出来るものの、保険の対象とはなりません。
つまり、まずは自己負担で家の建て替えを行い後日火事の原因を作った人に請求を行う形になりますが、保険会社の補償範囲外であった場合には支払われない可能性もあるのです。
一部保険会社で「見舞金特約」というオプションを付けている場合がありますが、微々たる金額であり、とても全損をカバー出来る金額ではありません。

 

 

住宅エリアは特に注意

住宅エリアの火災リスクは高い

前述した通り、どれだけ火の用心を徹底しても火事の発生リスクはゼロにはならず、周囲の家と隣接している住宅街や商業地域ほど不可抗力による火災被害に遭いやすいです。
古くからある住宅エリアの場合は建物自体が古く燃えやすいという事もあり、瞬く間に数十棟を燃やす火事に発展してしまったというケースは決して珍しくありません。
また、平成20年辺りからガスコンロ等のスプレー缶(エアゾール缶)による爆発や火事が頻繁に起こっており鍋を囲う機会が多い「冬」「世帯を持つ家庭」は特に注意を払う必要があるでしょう。

火災の事例はこちら

最悪のストーリーを歩んだAさんの体験談

 

東京消防庁「エアゾール缶等による火災・事故をなくそう」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/camp/2022/202210/camp3.html#camp3-an00

 

 

 

火災保険が不要なケース

下記の条件を全て満たしている人であれば火災保険を掛けていなくても大きな問題はありません。

 

  1. 持ち家でない場合
  2. 住宅ローン残債がない
  3. 価値がほとんどない家(保険料の方が高くなるケース)
  4. 周りの家からの火災リスクが少ない(密集住宅街でない)
  5. 山火事などの可能性が無い
  6. 地震が起こる可能性がほぼ無い
  7. 直近15年で洪水被害を受けたことがない(洪水が発生していない)

 

言い換えれば上記に当てはまるようでしたら火災保険に加入しておいて方が良いという事を意味しており、家を持つ以上「石橋を叩いて渡る」のは当然のリスクヘッジです。
“年間2~3万円”と確かに安くはない金額ですが、複数年単位で加入すれば1年辺りの保険料はグッと下げる事が出来ますので、火災保険会社にしっかりと相談をし補償内容を最小限にまで抑えた上、加入しておいた方が賢明でしょう。